The Fall 1/29 Concorde 2, Brighton

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

15272195_570531843138496_1509721957913340848_o

2017-01-29_setlist

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
セットリスト:TBD
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
29日はブライトンのConcorde 2でのライブ。サポートは27日同様Bo Ningen。Forumによるとこの日もドラマーは2人体制、観に行った方による”The geezer from The Australian Pink Floyd.”という書き込みがあったので、2人目のドラマーはPaul Bonney氏でほぼ確定かと思われます。

The Fall 1/28 CLUB.THE.MAMMOTH.ALL-dayer, Kentish Town Forum, London

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

15253467_10157805825560484_7558144682136272166_n

2017-01-28_setlist

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
セットリスト:
Wolf Kidult Man / Cowboy George / Zaptrack / Dedication Not Medication / First One Today / Venice with the Girls / Brillo Filo / Fall Sound / 9 Out of 10 / New Facts / Auto Chip 2014-2016 / Fol de Rol // Mr. Pharmacist / Wise Ol’ Man
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
28日のライブはロンドンのO2 Forum Kentish Town。21日の初ライブと同様CLUB.THE.MAMMOTH.の企画。facebookにいくつかの写真がアップされています。この日のライブはドラマーが2人体制になっており、2人目のドラマーが誰だったかはまだ確認できていませんが、おそらく昨年のライブにも参加したPaul Bonney氏だと思われます。

【音源紹介】 Physically Sick / Allergy Season

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

a1389185434_16

NYのハウス系レーベル、Allergy Seasonによるコンピレーション。Name Your Priceながら42曲4時間のボリュームで、なんでも収益は政府の移民法政策に反対する慈善団体に100%寄付されるとのこと。内容はミニマルなアシッド・ハウス中心で時間を忘れて聴ける1枚。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

The Fall 1/27 Engine Rooms, Southampton

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

THE-FALL-SOUTHAMPTON-HEADER

16265450_10211986054633125_1497203101103778167_n_zpssx6piat1

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
セットリスト:
Wolf Kidult Man / Cowboy George / new song / Dedication Not Medication / First One Today / new song / new song / Fall Sound / new song / New Facts Emerge / Auto-chip 2014-2016 / Fol de Rol // Mr. Pharmacist /  Wise Ol’ Man
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
新年2本目のライブはサウサンプトンで、サポートは以前にも一度共演したBo Ningen。facebookなどにいくつか画像がアップされています。セットリストは書き起こしですが、Mr. Pharmacistも演奏されたとのこと。youtubeにいくつか音源もアップされています。

The Fall 1/21 CLUB.THE.MAMMOTH. All-dayer, Arts Club, Liverpool

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

15965491_10158033507670484_4053779395863438911_n

2017-01-21_setlist

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-41-43
セットリスト:
Wolf Kidult Man / Cowboy George / new song / Dedication Not Medication / Fall Sound / new song / new song / First One Today / New Facts Emerge / Fol de Rol // Auto-chip 2014-2016%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

2017年初ライブ。メンバーはMES氏、Pete Greenway、Dave Spurr、Keiron Mellingの4名。新曲がいくつか披露されています。The Fallは遅いスタートとなったようです。forumなどに音源がアップされています。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

こちらに写真とレビューあり。

不遇のアルバム: Bend SinisterとLevitate

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
2017年1月現在31枚のオリジナルアルバムをリリースしているThe Fall。
人気のあるアルバムは何度もリイシューされ、その度違うボーナストラックがついたり、リマスターされ未発表音源のディスクをつけたデラックス版で発売されたりするものもあります。The Fallの31枚のアルバムのうち、2002年以前にリリースされた23枚のアルバムは現在そのほとんどがリイシューされ再発されており、それ以降に発売されたアルバムも2008年の『Imperial Wax Solvent』を除きほとんどが容易に入手可能なので、The Fallのオリジナルアルバムを全部集めようと思った場合、その障害はほとんどないと言っていい状況です。

しかしそんなアルバム群の中でも、リリースされて20年近く経つのにいまだにリイシューされていないアルバムが2枚だけあります。
それが『Bend Sinister』(1986)と『Levitate』(1997)です。

『Levitate』はArtful Recordsという今は亡き(?)インディーズレーベルからのリイシューなので、再発が難しいのもわかる気がするのですが、同じレーベルからリリースされた『Marshall Suite』(1999)は2011年にCherry Redから3枚組のボリュームでリイシューされています。『Bend Sinister』にいたっては名門Beggars Banquet在籍期(1984年から88年頃)のちょうど中間の86年にリリースされ、内容もバンドの代表曲の1つ「Mr. Pharmacist」を収録している好内容にもかかわらず、90年と97年にCD盤が再プレス(注 リイシューではない)されただけで、ベガバン時代の他のアルバムが全てリイシューされた中、いまだに手をつけられていません。

けれども両者とも完全に再発の話題がないわけではなく、それぞれ現在に至るまでいくつかのニュースがありました。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

tf

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
まずBend Sinisterについてはこれまで何度も「再発の噂」が流れています。
もともとベガバン時代のアルバムについては2010年に『 The Wonderful And Frightening World Of…』のCD4枚組となるオムニバス・エディションと題されたボックス形式の再発に始まり、1枚枚数を減らして3枚組となった次作『This Nation’s Saving Grace』の再発と順調に再発が進んでいました。しかしボックス形式の再発はここでピタリとストップし、以降Forumは様々な噂で持ちきりになります。

「高すぎてあまり売れなかったんじゃないか?」「Bend Sinisterは前2作に比べるといまいちパッとしないから、ベガーズが売り上げの予想に二の足を踏んでいるんじゃないか?」

実はこのアルバムの次作である『The Frenz Experiment』がThe Fall史上もっともチャート的に成功したアルバムの1つと言われており、ベガーズはオムニバス・エディションの再発を順当に3作連続でやって、そのあと『The Frenz Experiment』を『 The Wonderful And Frightening World Of…』のような規模で再発するつもりだったけど、その計画が頓挫してしまったのではないか?などなど。

そしてファンがやきもきして待つ中、2013年に『5 Albums』というベガバン時代のアルバム5枚をワンセットにしたリイシューボックスの発売がアナウンスされたのですが、『Bend Sinister』はなんとそのチョイスから外れてしまいます。ここでファンが公式サイトのコメント欄に『Bend Sinister』の再発について質問を投下。するとベガバン側から以下のような返信が返ってきました
(公式サイトpage not foundにつきforumからのコピペ)。
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-41-43

ベガバン「All people on the Fall forum – you’re right, Bend Sinister deserves a separate release and a careful consideration of what speed it should play at. There should be sufficient material for a two disc set. The 5 album set is a way to keep the 3 main albums available on a physical format that sounds better than mp3 and it’s a chance to digitise some of the more obscure tracks. Actually I really enjoyed listening to the ‘Hit The North’ CD – it works better than it should.
Much has been re-mastered from analogue tape. Sadly we only have parts of ‘Kurious Oranj’ on analogue. I tried transferring the (digital) vinyl master but it just didn’t sound as good as the CD due to the extra compression, so the different vinyl mixes have been added to the end while keeping the vinyl sequence.
There is still some final work to be done comparing versions of ‘Wrong Place, Right Time No.2’ and ‘Bad News Girl’ – if they are different they will be included. Also I believe Victoria is the same on single and album. Seminal Live hasn’t been re-mastered, just adjusted to match the other CD’s. I’m hoping for a July release.」
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-41-43

大半が『5 Albums』のアルバムはリイシューされてんのか?という質問に対する回答ですが、ようするに2013年の段階では2枚組でリイシュー出したくて、今それに足るだけの素材を集めてるところ、みたいな回答です。そして何事もなく2014年、順当に雲行きが悪くなってきます。
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

ベガバン「Some (sort of) answers. With The Fall there’s enough material to make a 2 disc set from Bend Sinister though I don’t know when that will be.」

ベガバン「Thanks a ton for all of your suggestions. We are working on some of them and all will be revealed in the coming months!」

ベガバン「We’re slowly getting back into the swing of things here and, though I can’t be specific yet, there are a lot of protects in the pipeline for 2014 from across all the Beggars’ labels. Big names, small names, blockbusters and obscurities – we’ve got them covered. That’s not to say we wouldn’t welcome suggestions for what you’d like to see released or re-issued, so please comment away!」
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

徐々に頓挫していってるのが伝わる文面ですね。

2015年の段階ではこうなります。(※Forumからキャプチャ)
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-41-43

スクリーンショット 2017-01-22 17.12.02

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-41-43
(※PCからだと全然見れなかったのでコピペ)

Inevitably, someone asks after “Bend Sinister” – interesting response:

“We are working on Fall projects now… will announce as soon as we can”

2 points:

1) “projects” – plural
2) no commitment to “BS” being one of them

As Beggars are decent sorts, I wouldn’t expect anything to appear until after the new album but still, something is being cooked up for us.
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

この時点でThe Fallの再発プロジェクトはいくつかやってるけど、その中にBend Sinisterが含まれているという具体的なコメントはありません。
そして更に時が経ち、2017年。Bend Sinister再発の件はどうなったかというと、なんとForumに「ベガバンの再発担当にメールしたら、”今年の後半にはいいニュースを聞かせてあげられるよ!”という返信が来た。」という書き込みが。もしかするといよいよ今年、Bend Sinisterの再発盤を拝めるかもしれません。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-09-21-14-06-32

R-1272953-1418253908-4247.jpeg

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
次はLevitateについて。
実はこのアルバム、2014年にレコードで再プレスされています。といってもオフィシャルではなく、誰がプレスしたのか全くわからないブート盤です。

僕もebayで手に入れましたが、こんな感じで全然本物との違いがわかりません。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

IMG_6977
IMG_6979
IMG_6980
※ちなみにちゃんとした人がやってる風のアートワークは当時のメンバーTommy Crooks氏の仕事

 

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

たぶんオリジナルを持ってる人やブートに詳しい人が見ればわかるのかもしれませんが、「1997年のレコードがこんな綺麗な状態で残ってるわけないだろ?」というくらいしか素人目には判断できず、また音もオリジナルのCD盤、レコード盤を持ってない人間からするとこんな感じなのかな?という程度。少しブートっぽいというか、奥行きがないようにも聴こえますが、なにぶんレコード再生装置が中1からずっと家にある壊れかけのコンポしかないので、それがこのレコードの本当の音なのかもわからず終いです。「ARTFUL LP9」というカタログナンバーも刻印されていて(そのままコピーしてるならついてて当たり前なのですが)個人的にはもう本物ということにして大切に保管しています。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
そんなLevitateは発売時にファン泣かせの2枚組限定盤をリリースしており、これが現在廃盤ということもあってファン泣かせのコレクターズアイテムと化しています。
e-bayを見てみると相場はこんな感じ。
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
スクリーンショット 2017-01-22 17.49.47

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
下のはいまでも絶賛発売中のブートLP。55£は日本円で8000円くらい。これも今Brexitのおかげで安く買えるようになっていますが、相場としては80£で出品されていたりもするCDなので、買うのになかなか覚悟がいります。僕はまだ覚悟できていません。この2枚組はThe Fallのオリジナルアルバムでは一番集めにくいCDだと思います。

そんなLevitateのリイシュー情報ですが、もともと人気がないアルバムなので、あまり積極的に問い合わせたりしている方はいないようです。Cherry Redがなんとかしてくれるんじゃないかな、という気もしますが、このCDが売れないご時世にどれだけ需要があるかと言われると、Bend Sinisterよりはるかに厳しい状況に置かれているアルバムだと思います。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

 

糞ジャケで巡るThe Fall

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43

 

1/21現在、いよいよ新譜リリースの気配がたちこめてきたThe Fall。

間も無くリリースされるだろうと噂される新譜はどうも先にオフィシャルサイトで発表されているTシャツの柄を見る限り(下画像)、ジャケもおしゃれというか、あ、ちゃんとした人がやってるな、という感じのものになりそうなのですが、それがうれしいかうれしくないかと言われると少し物足りなさを感じてしまうのがファンのかなしいところ。というのもThe Fallは特に近年その出す音源の糞ジャケさ加減でポイントを稼いでいた感があり、そういう年に一度の風物詩的なThe Fallの新譜ジャケが見れなくなると思うと少し寂しいのです。

 

ということで新譜リリースが近い(?)ことを記念して、これまでのThe Fallのリリースしてきたアルバムの中で、特に糞ジャケすぎるだろ、と思うものを振り返り、新作に備えたいと思います。

 

NFE-White

 

 

The Fallは最初からひどいジャケットを出すバンドではありませんでした。
80年リリースの3rd『Grotesque』などは見ようによっては確かに糞ジャケと言っていいポンコツなイラストが描かれてはいますし、これを糞ジャケという方はおられるかと思いますが、これはこれで当時の空気感を反映しているようで普通にカッコいいというか、中の音を体現している優れたジャケットなんではないかと思います。なんというか糞ジャケというのはこういうのじゃない、デザインとかのチャチな違いではない、もっと本質的なところで「何も言えねえ」とう感じになるもののことだと思います。

 

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-41-43 SV113_web_1024x1024

 

同様に『Perverted By Language』(1983)とか『Bend Sinister』(1986)あたりも見ようによっては糞ジャケとは言えなくはないかもしれませんが、個人的な基準ではこれらのジャケットも糞だとは思いません。少なくともアーティストが音楽を聴いてちゃんと作ってるな、という感じが漂っていればそれは糞ジャケとは言えないと思います。

 

Perverted_by_Language tf

 

 

Mark E Smithおじいちゃんの自伝によれば本人はバンド初のメンバー写真がジャケとなった『The Light User Syndrome』(1996)が「俺が糞ジジイに写ってる」「後ろのメンバーがアホヅラすぎて見ていられない」などの理由で非常にお気に召しておられないご様子ですが、ファンからすればこれも全然アリ、むしろアルバムの空辣な雰囲気を見事に表した、非常に素晴らしいジャケットだと思います。

 

10953-the-light-user-syndrome

 

 

1991年の『Shift Work』あたりからフランス人アーティスト(糞ジャケクリエイター)のPascal Le Gras氏とMES氏の交流も始まり彼の手がけるジャケットも増え、いよいよ糞ジャケ黄金期の到来か、と予感させますが、それでもまだ80年代末から00年代にかけての間は、シングル『There’s A Ghost In My House』(1987)とか、ちょっとこれは・・という作品はあったりするものの、全体的にそこまで糞ジャケらしい糞ジャケはないと思います。(後からきたのが破壊的すぎてこの頃の糞ジャケがかすんでる、とも言える)

 

61khCegt6AL115584906

 

それでも『Archive Series』(1997)なんかはなかなかの糞ジャケ。

R-8749-1316586511.jpeg

 

 

問題は00年代に入ってからです。

まずはこれ、2007年のオリジナルアルバム、『Reformation Post TLC』。

images

 

このジャケはまだ許せます。が、このアルバムのしばらく後に出たライブ盤のジャケットが問題。

61D+3wgJmjL

 

同じ!!
やばいです。別々のところから拾った画像なので色味に違いがありますが、実際のCDの印刷は全く同じ。しかも字体まで変えないという。実際このアルバムのツアーのライブ盤なので、このジャケットは正しいといえば正しいのですが、同時にハマースミス・パレスというクラッシュの歌にもなったライブハウスの最終営業日の録音という歴史的にも貴重な音源(たぶん)です。こういう音源をこんなジャケットで出すあたり、やっぱりThe Fallきてるなーと感じます。

 

 

そしてこの「ジャケット同じじゃねーか!」パターンは1つだけでありません。2003年にリリースされたこちらのコンピ。

MI0002106530

 

そして数年後、上のコンピを出したのと全く関係ない(系列か?)アメリカのレコード会社からリリースされたコンピ。

41oa9Eyt5dL._SY355_

何の躊躇なく同じ!!!あと今このブログ書いてて気づいたけど、実は画像の左右反転という涙ぐましい努力をしている!泣ける!糞!糞ジャケ!!
で、上のコンピはVol.2、3と続いていくのですが、どれもなかなか褒める言葉の見つからないひどい内容。そんなコンピのシリーズをリリースしたレーベルがSecret Recordsで、これもなかなかの糞ジャケ生産レーベルです。そんなSecret Recordsの手がけたコンピ、ライブ盤のジャケットがこちら。

 

$_35 149527 fallclass-500x500

 

一見綺麗に見えるけど手抜き!!
実際ライナーとかは丁寧に作ってるレーベルなので、最低ではないのですが、上の『White Lightning』と『Yarbles』、一見同じデザイナーさん使ってる(じゃなかったら◯してくれ)のにシリーズでもなんでもなく、リリースも数年間隔空いてる全く関係ない音源という謎仕様。しかも後者に至っては同時発売されたライブ盤CDの”抜粋”、という中身も本格的な謎仕様。

最後のアルバムに到っては文字入力してフォントのサイズを大きくしただけ。収録曲も10曲程度のipodのシャッフル再生程度の寄せ集めベスト?でかなりきています。

 
そんなSecret Recordsをはるかに凌駕する糞ジャケ生産レーベル(まだ上がある)がOzit Records。ここは本当に糞です。
2013年リリースのライブ盤、『Live In San Francisco』はまだ許せる絵面。(内容は2003年頃のライブ)

GZ LP gatefold

 

 

まあこれもギリといえばギリの、この画像のどこがThe Fallと関係あるんだ?という感じのノリですが、よりヒドいのが昨年のレコードストアデイにリリースされた『Bingo Masters At The Witch Trials』。

 

 

848d1cd8e723114c5dd1613e1a8523bb

 

 

いくらなんでも糞すぎるだろ!!!!
しかもこのジャケ、フリー素材をコラしただけのめちゃくちゃ簡素なもの(下記画像参照)。

左下はMES氏直筆のメッセージですが、たぶんどこかのゴミ箱から拾ってきた紙でしょう。このアルバムがレーベルの目下最新作なので、同時にThe Fallの糞ジャケとしても最高傑作というか、これ以上は切に出て欲しくないと願うばかりの1枚になっています。

Fall OnlineのForumでも「Tragic」とか「ひどすぎて目を瞑り、いくらなんでも自分の錯覚だと思って目を開けたら更にヒドかった。」など非難轟々。さらにもともとレコード限定で売ったくせにちゃっかり後日CDも出しています。さすがにこのCDはまだ買っていません。(レコード棚をそっと振り返りながら)

 

american-bingo-300x231witchhunt_med

 

 

しかしながら上のSecret RecordsとOzit Recordsはともに再発専門レーベルなので、もともとが「こいつらなら何出しても買うやろ、まじおもろいわ。」という根性でファン相手に商売をしている殿様レーベル。

だからこちらも恥を忍んで買う以上、ジャケットはどんなのでもいいといえばいい(覚悟の上)のですが、最近のThe Fallはオリジナルアルバムでもかなりきわどいアートワークを採用しています。

2011年のErsarz GB。

 

2c174fb3

 

 

かなりヒドい!!!

しかもCDはブックレットなくて上のジャケが印刷されたヒラヒラの紙が一枚入ってるだけです。

しかしこのアルバム、実はリリース前は下の画像がジャケットとして発表されていました。

 

fall2FALL FRONT

 

 

こっちでよかっただろ!!
HMVで新譜を予約し、ジャケットを見て今回はおしゃれだなーと思ったらスパーンと変わって、しかも意味不明な風に変わって、これがThe Fallか・・と思ったのはいい思い出です。

 

そして上で少し触れたPascal Le Gras氏。この人もThe Fallの専属デザイナーみたいになって多くの音源のアートワークを担当しているのですが、なんというかすべてがスカム。2004年リリースのコンピ『Interim』とかかなりスレスレ、な感じでやばいです。

 

51HKhZnl-nL

 

 

The FallではなくMark E SmithとEd Blaneyの共演盤もジャケを担当していて、これもかなりきています。

transfusion big

 

せめて写真はピンぼけやめろ!

 

そして目下最新アルバム『Sub-Lingual Tablet』(2015)と昨年リリースされた最新EP『Wise Ol’ Man』。

 

6f604ca1
The-Fall-Wise-Ol-Man

 

『Sub-Lingual Tablet』の方はやばい感じ隠せてない風ですが、Wise Ol’ Manのジャケットは普通にカッコいいと言っても良く、どちらもかなりまともな印象です。

Wise Ol’ Manのジャケイラストは『Grotesque』と同じ、Mark E Smithのお姉様が担当。モデルはギターのPete Greenwayにも見えますが、いずれにせよ糞ジャケではないでしょう。

 

The Fallの糞ジャケ、ざっと書いてもまだまだ収まりきらないだけあります。

スカムさが味になってるものもあり、麻痺したファン脳が勝手にいいジャケと思ってるものもあるでしょう。

いよいよ出る新譜、果たしてジャケットは糞なのかそうじゃないのか、そういうところに注目して待ってみるのもいいかもしれません。

初春文楽公演レポ

IMG_6920

あけましておめでとうございます。

1/15に国立文楽劇場の初春文楽公演に行ってきました。文楽を観るのは初めてだったのですが、正月3日京都八坂神社の初能奉納を観に行き、いい感じだったので今年は伝統芸能をいろいろ見る年にしようと決め、ネットで値段などいろいろ調べているうちに文楽は一等と二等の席区分があり、二等だと2400円とかなり安価に見れる、ということがわかったので、主にその理由だけで地下鉄堺筋線日本橋駅へ向かいました。
公演は昼と夜の二部構成なのですが、チケットは各部ごとの販売になっており、通しで見ると4800円。それでも一等席の一部料金の6000円より安いとかなりお得です。席は全部で19列あり、二等席はその最後尾の18列目と19列目に当たります。

IMG_6924 IMG_6921 IMG_6925

先にチケットを二部とも予約して行ってもよかったのですが(インターネット決済とかフツーにあります。発券機は1台しかありませんでした)、上のタイムテーブルを見てもらえばわかる通り、各部がかなりの長丁場です。特に一部は4時間半もあり、まずそれだけの長さ退屈せずに見れるか不明だったのと、2日前に予約してもまだ席に空きがあったのでとりあえず一部だけ買うことに。劇場のチケット売り場前の掲示板では一部の入場開始時点でまだ二部の当日券があるようだったので、おもしろかったら休憩中なんかに二部のチケットを買いに行こうと思いとりあえず入場。

文楽劇場は3階建ての建物で、1階にいい感じの値段の喫茶店や展示室があり(DIY精神に満ちていた)、エスカレーターと階段を上がった2階に劇場と弁当売り場、休憩場が設けられている感じでした。3階には小ホールと資料室があるようですが、今日は閉まっていました。
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-41-43
IMG_6922

劇場ホール内。二等席(18列目)から見た舞台はこんな感じ。手前の17列目でもう一等席で、そこは特に通路を挟まれてる的な違いはなく、この数十センチに3600円の差があります。しかし二等席は人形の顔がギリ見えないというか、顔は見えるけど表情は微妙にわからない、という距離感だったので、もしかすると17列目はそういうのが絶妙にわかり、かつ舞台全体を見渡せるみたいな距離感なのかもしれません。この後通い慣れた雰囲気の和装の帝塚山マダムな方々が座っておられました。

また、上では触れてませんでしたが、タイムテーブルで公演が演目ごとに分かれている通り、その演目だけを見る幕見席という座席も劇場の左右に配置されていて、インターネット予約はできないのですが、だいたい1000円くらいで演目だけを見ることができ、とても便利なシステムだなと思いました。

劇場の広さには少し思うところがあって、これは感想の一部でもあるのですが、なんだか広すぎるな、ということ。見てわかる通り舞台は人間が演劇をやってもおかしくないというか、まさにそのこともメインに考えられたような広さになっていて、そこに人形が動き、ということになると、なんだか書割が妙に大きすぎるように見えたり、写真左の見切れている部分に太夫と三味線の人が座るスペースがあるのですが、太夫の人も声いっぱい張り上げないと音が響かなかったりと、はたして文楽というのはそもそもここまで広い舞台で見るものなのかな?という疑問はかなり感じました。これは「文楽でこのホール満員にすんぞ!!」という気合いで作られたのか、それともいろんな演目やるなら文楽に特化したホールじゃない方がいいよな、という配慮なのか、それともただのオシャレ感なのか、なんなのかはよくわかりませんが、劇場内各所に設置されている「これ文楽と関係あるのか?」としか思えないバブリーな謎の彫刻同様、作られた当初の時代の雰囲気のようなものがよくでていました。鑑賞中も二等席だということも相まってか薄いフィルター越しに水族館の珍しい魚を見ているようなそんな気分で、とにかく劇場の広さにはなんか、伝統芸能とか言ってる最前線の劇場がこんなのでいいのか?という思いをかなり強く感じました。1階の展示室では昔道頓堀に朝日座という劇場があった、みたいなことが書いてありましたが、果たしてそこはどのくらいの広さだったのでしょうか。きっとここまでばかでかくはなかったはずなのですが・・。お客さんも結構入っているはずなのに、劇場の広さで空いているように見えるのもなんだかなあと思いました。なにぶん文楽鑑賞が初めてのにわかなので、これも前の方の一等席で鑑賞なんかすればころっと変わるのかもしれませんが、とにかくそれは唯一ショックを受けた点でした。最前線の劇場がそんなに良くなさそうという・・。ネガティヴな感想は以上です。

 

【第一部】

『寿式三番叟』
30分ほどの演目。3日に八坂神社で見た『翁』は最初翁が舞って、その後仮面をつけた黒い人(にじみでるにわか臭)が踊る、という構成でしたが、こちらは翁っぽい人が踊った後、能にはいなかった若い二人の人形がひたすら踊りまくる、という構成です。二人はそれぞれ曲に合わせて踊りまくるのですが、どんどん疲れてきて、一人がへたりこんでるのをもう一人が励ましあったり、片方に踊らせて自分だけ休んだりしてわりとコミカルに進んでいきます。人形の舞台の後ろでは二段に分かれて三味線と太夫の人が並んでおり、音楽も壮観です。文楽の人形使いの人はあくまで人形使いに徹していて、空気のような影のような存在かと思っていたのですが、ここでは黒子の人が疲れた人形の汗を拭いたりしてあげていて、あ、そういうノリなんだ、という発見があっておもしろかったです。あくまで人形を支えている人というか、人形が演技しているのをそばで見守ってる人みたいな感じなのでしょうか?いずれにせよ二等席なので人形の表情までは見えなかったものの、遠くから見ると人形が本当に小さいただの人に見える瞬間があって、あ、文楽イイな、と思いました。

この演目の後30分の休憩に入り、一部の終演の3時半まで休憩らしい休憩はないので、昼食は必然この時間にとることになります。飲食物は持ち込み自由?らしく(ネットで調べたら黒門市場で弁当買ってきて食う、みたいな話もあり)、半券があれば再入場も自由なので劇場前の信号を渡ったところにあるコンビニとか、近くのうどん屋とか飲食店でご飯を食べることもできるのですが、開場前に歩いてみた感じでは距離感が微妙に30分で間に合わない感じだったので、無難にホールの出口横にある売店のサンドイッチ(620円)を選びました。このサンドイッチがおそらく館内の弁当では一番安く、売店では他にも押し寿しなど様々な弁当が売られていましたが、どれも1500円などまあまあ良いお値段がします。1階の喫茶店もうどん・そばのセットが1500円とか、コーヒー470円とかそんな感じで、祇園の観光客向け喫茶店に迷い込んだような雰囲気でした。上のサンドイッチが売っていたホール横の売店では300円でコーヒーも売っているのですが、熱々でなかなかおいしかったです。

 

『奥州安達原 環の宮明御殿の段』
昼食を終え、時間通りぴったりに始まった演目。上の三番叟はいわば「能で知ってるやつ」だったので、ここからが本当の初文楽でした。この初春文楽公演を終えて初めて知ったのですが、文楽というのはどうも、一つのストーリーを丸ごと上演する、というのは少なくて、何かの話の一段(章分けのこと)だとか、そういう部分部分を上演することが多いようです。能とか狂言だと話は一本ですが、文楽は一つの話が複数の段に分かれていて、例えば『奥州安達原』は全五段で、この「環の宮明御殿の段」だけで約100分の長さがあります。全部の段が同じくらい長いわけではありませんが、そんな感じで全十段とかある話をやろうとすると、長すぎて一々全部上演していられない、という話になります。そんならみんなの知ってる美味しいところだけやればいいじゃん、という発想なのでしょうか。江戸中期から始まったらしいこのような上演形式をミドリと呼び、全段通しで上演することを通し狂言と呼ぶそうです。

で、『奥州安達原 環の宮明御殿の段』、始まり舞台が開くと同時にはらはらと雪が降り、その演出にまず、文楽ってそういうところまでやるんだ、と衝撃。人形を動かしているという時点でかなりそういうリアリティみたいなものはどうでもいいと思っているのかなと思ったら、そうではなくちょいちょいリアルな表現を取り入れています。そこは能や狂言とは違って、ちゃんと物で見せて表現するんだ、ということなのでしょうか。ストーリーはかなり悲惨で、複雑な人間関係の下、最後は自害祭りみたいになるのですが、前段見てないからわかんないんだよなーという部分もあるものの、思ったよりすんなりと見ることができ、最後らへんの親に勘当され浮浪者となり盲目となった娘が年老いた両親に会いに行き三味線で身の上とか思いを弾き語りをして、父親に思いっきり「いや、会わねえよ!!」と門前払いされるあたりとかはあまりのかなしみの深さにかなりぐっときました。正直日本の歴史とか平家物語とかはどうでもいいので、そのあたりはまあ昔はそんな人もいただろ、それが何なんだ?という感じでしたが、こういうストーリー形式で見せられることで、そういう世界にもいろんなことがあったんだなとわかるというか、自分の中のそのあたりの時代に対するイメージに吹き積もっていた埃が少し晴れたような、そんな光がさしたような気分になりました。悲痛な場面での太夫の方の語りも素晴らしく、YouTubeとかで見ると地獄の単調さに聞こえる義太夫も、こうして生で聞くとこんなに感情あるオペラ的なものに聞こえるのかと、そういうことが理解できたのも収穫として大きかったです。

 

『本朝廿四孝 十種香の段/奥庭狐火の段』
これも歴史物で、登場人物は武田勝頼と上杉謙信、etc。上杉謙信の下にスパイで潜入した勝頼が、結婚相手の謙信の娘に再会などするも、思いっきり身元がバレて追っ手をけしかけられたのを、謙信の娘が祈祷することで現れた狐火に助けられ、なんとか逃げ果せることができた、というあらすじ。これは各段とも30分程度の演目でしたが、謙信の娘と勝頼が再会して招待が明らかになっていくくだりとか、謙信の娘の祈りで無数の狐が現れるシーンなんかが舞台的に見てておもしろく、きっと通しで見たらもっとおもしろいんだろうなあ、という印象。思いの外ポップでマンガ化されてもおかしくなさそうなあらすじで、日本人のこういう物語に対するツボって変わってないんだな、という。南総里見八犬伝とか、河出文庫から出てる古典新訳物を買って読もうとして挫折したことがこれまで何度もあったのですが、もしかするとこういうものはこうした形で見るのが一番手っ取り早いのかもしれません。

ここで一部が終了。なんだかんだで話の切れ端だけ見せられてもっと見たいというフラストレーションが溜まっていたのと、どうせなら後日にもう一度ここに来るより今日ここで見てしまった方が交通費が浮く、という貧乏人根性により、まだギリギリ売っていた二部の二等席当日券を購入。『染模様妹背門松』も鑑賞することに決めました。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-09-21-14-06-32

【第二部】

『染模様妹背門松』は先の歴史物的な二作と違い、世話物、江戸時代の風俗を描いた作品になっていて、世界観がガラリと変わり一気に下世話に、というか新喜劇的な馴染み深いものになっていて、まずその落差と、一気に大阪の文化!って感じがしてきたことに驚きました。話は通し狂言ではなく、どうも見ている感じでは前半の「油店の段」の前あたりに何かストーリーがあったような感じなのですが、質屋の娘のお染とそこに奉公している久松という丁稚の恋物語になっていて、お染の婚約者(頭が回るし金も持ってる名家のやり手)に関係がバレるわ、子供ができるわ、親にもバレるわ、で最終的に頭に思いつく(というか最初の方からずっと言ってる)選択肢が「死のう!」しかなく、そのままの勢いで突っ走っていくという心中物。たぶん今でいう中学生とかそこらの年齢のカップルだと思うのですが、初めての恋が道ならぬ恋で、その解決策が死ぬしかない、という思い切りの良すぎる設定の狂ってる感が最高で、その疾走感に約3時間、一瞬もダレることなく観ることができました。おそらく「油店の段」の前にあったであろうお染と久松の恋の顛末みたいなものがもっと見れたらよかったのですが、そこは恋じたいも幼いというか、特に理由もなく(久松はお染のえくぼが好きらしい)好き好き言って自滅的に心中に向かってる感じが儚いというか、かなしみ深い感じで味がありました。善六というキャラクターのコミカルな立ち回りもよく、途中太夫の方がアドリブでセリフにPPAPとか『君の名は。』を差し込んだりしていて面白かったです。

 

 

そして終演。あまり売店とかそれに類するものがないので、観た方はもう一斉にただ帰る、という感じで、僕も地下鉄難波駅の方までぶらぶらと歩き、昔この辺りでバイトしていた頃休憩時間に行ってた飲食店の開店状況などを確認しつつ界隈の汚さに勝手にゼツボー感を募らせたりしながら帰宅しました。
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-09-21-14-06-32
来ている方の客層について。全体的に観に来ている方は年齢層が高めで、おそらく65歳以上の方が全体の半数近くを占めており、その下に端唄とか三味線やってそうな和服姿のマダムや、大学で文楽の研究とかしてそうなおじさん、絶対落語か何かそのへんの業界のそこそこ偉そうな人、家族連れ(といっても子供は20歳くらい)などが続くという感じ。40代のおじさん的な人たちが一番いなくて、僕のような20代で単身観に来ている男の人は意外と数人見かけることができました。人の入りは上でも書きましたが7割から8割くらい。しかしどう考えても劇場が広すぎるので、文楽人気ないな、とかいう感じは一切なく、来ている人は一部寝息などが聞こえる瞬間はあったものの(昼の部)、本当に好きな人が楽しみに観に来ているという感じで、全体的にテンションは盛り上がってる感じ。和気藹々とした雰囲気はホール前の休憩スペースにもあふれており、ソファもいい感じで、劇場自体の居心地は終始よかったです。心配していたドレスコードというか、こんなしょうもない引きこもりの全身ユニクロ人間が行っていい場所なのか、という点については心配なく溶け込める感じでしたが、一切DQNを含有していない質の高い場のオーラに、自分の中に勝手に「ちゃんとしないと・・・ちゃんとしないとこんな場所に来ちゃダメだ・・・・。」という自責の念が生まれ、寝るまで引きずったということだけ記しておきたいと思います。ホール前の休憩場にあれだけたくさんの大阪のおばちゃんがひしめいていて、口々に話しているのにどの人のおしゃべりもはっきりとは聞こえてこない、というのはなかなか斬新な、すごい体験でした。ソファの座り方ひとつでさえ自然と背筋が伸びるような・・。
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-12-05-20-38-43
最後に初心者の観劇のしやすさについてですが、劇場の上部(上の写真の鯉と額の飾られた下あたり)に字幕が表示されているのと、1階2階にそれぞれあるスペースで650円のガイドブックを販売しており、そこに全演目のあらすじと別個で床本という台本のような小さな冊子がついていて、上映中も夜の場面でない限り場内は明るいので、それを手元に見ていれば言葉使いはもちろん江戸時代とか義太夫節とかのアレなのですが、結構すんなりと世界に入っていくことができ、かなり観やすいです。そして意外と慣れたら字幕を見ずに舞台の人形を観ていた方が話が入ってきたりします。なのでガイドブックを先に買って入ることさえすれば明日にでも見に行って大丈夫だと思います。床本集はふりがなもない、本当にセリフだけがびしっと書かれたストロングスタイルで、こういうの岩波文庫とかでほしいと思っていた自分としてはかなりうれしいおまけでした。

またイヤホンガイドというものも有料で貸し出しされていて、僕は美術館かよと思って借りませんでしたが、ちらほらと借りている方もいらっしゃり、ネットを参照する限りでは結構あった方がいいもののようです。また、従業員の方もかなり多いので、館内で迷うようなことはまずないと思われます。

以上国立文楽劇場で開催された初春文楽公演のレポになります。劇場の変な広さにこそマイナスを感じてしまいましたが、文楽自体は非常におもしろいものであることがわかったので、4、7、11月にある公演も、できる限り見に行きたいと思います。

IMG_6927 IMG_6926