【音源紹介】INITIATION PACKAGE / PEARL CITY HOTEL

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フランスのvaporwaveアーティストの新作。パーティー的と呼べばいいのか、アメリカなど本場(?)のアンビエント寄りのインドア志向のvaporwaveと違い、よりハウス寄りというか、パーティーで流れていてもおかしくない陽気なノリを感じるダンスミュージックとなっている。6など真っ当?なvaporwave曲もあるが、3は完全にダブで、全体的にアッパーな外向きのノリを感じる。それでもちゃんとvaporwaveになっているところがおもしろい。アーティストの志向というよりはフランスのお国柄なのかもしれない。
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【音源紹介】 SKY LOBBY / I am Adam, of Eternia

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I am Adam, of EterniaはUKのvaporwave/future funkアーティストで、『SKY LOBBY』はアメリカのFANTASY☆DELUXEからリリースされた3作目のアルバム。これまでの音源の中では最も長い作品となっており、”The Sky Lobby”と名付けられた高層タワーの最上階を舞台に、聴き手がそこで町の夜景を眺めながらリラックスする空間を演出する、というコンセプトアルバムとなっている。「夜」や「高層タワーの最上階」といったコンセプトに引っ張られたのか、前半は曲のトーンに似たようなものが続いてしまい、やや退屈に感じられるが、中盤から後半にかけてはその退屈さが嘘だったように素晴らしい展開が続き、耳に心地よい余韻が残る。コンセプトアルバムとして完全に成功しているとは言えないかもしれないが、十二分に聴き応えのある佳作。vaporwaveでコンセプトアルバムというのも少し珍しいように思う。

I am Adam, of Eterniaは前作も大変素晴らしい作品なので、この作品が気になった方は是非前作も聴いてみてください。
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※前作:

【音源紹介】 CIDERVIOLENCE / FETUS CHRIST, HOOKED ON CHRIST

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イギリス出身のファストコア/パワーヴァイオレンス系バンド2組によるスプリット盤。どちらのバンドも名前からして反キリストを全面に押し出しているが、音はブラストビートを交えた無骨なハードコアといった印象で、曲名もそんな感じという以外は特にこれといった特徴は見られない。この系統のバンドはみんなこういう名前を名乗る、といった伝統があるのかもしれないが、まだまだこのジャンルを聴き始めて日が浅いのでよくわからず。クラストコアはCrassとかアナーコパンクの延長から始まったという話を聞いたことがあるので、もしかするとその伝統でこういった名前をつけているのかもしれない。音源は双方とも非常に音質が悪く、ほとんどアメリカのどこぞの田舎のハードコアバンドが無料で出しているスカスカのデモ音源のようなのだが、このスプリット盤を気に入ったのはそんな録音でもどちらのバンドからもそれぞれ大変熱気と勢いが伝わって来るということ。もしかするとこうやって音質の悪い音源を出すということも文化なのかもしれないと思えるほど、音質の悪さも気にならない。特にFetus Christは他の音源も一通り聴いてみたいと思った。
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【音源紹介】 1995 (Single) / 1995

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アルゼンチン・ブエノスアイレス出身の男女4人組バンドによるシングル。BandcampやSoundcloudに他の音源がリリースされた形跡がないので、おそらくこれが1stシングルだと思われる。演奏にはまだ荒削りな部分があり、精一杯演奏して録音した、というレベルの危うさすら感じるが、ジャケットとバンド名通りのあたたかさと懐かしみのある音世界は既に十分表現できており、演奏や曲の未完成な部分はこのまま未完成のままの方が良いのではないかとすら思えてくる。弱々しく抑えた演奏とどこか遠い方から聞こえて来る女性ボーカルには素朴な美しさがあり、アルゼンチンという土地に郷愁を抱かせる。メンボーズと同じものを感じる。

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【音源紹介】 F5 Complete – Jim Perfect / F5 Complete

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BandcampからF5 Completeの2ndアルバム『F5 Complete – Goodnight, Birthday Girl』のリリースを通知するメールが届いたのが12日の10時23分、そして8時間50分後の19時13分、Bandcampからこのアルバムのリリースを通知するメールが届いた。前作からわずか1日にも満たないスパンでリリースされたこのアルバムはJimmyという友人に宛てて制作されており(F5 Completeは「vaporwaveっぽいアルバムを作って友達に聴かせる」がコンセプトのイリノイ州在住のvaporwaveアーティスト)、収録時間は27分とやや短めだが、数時間前に制作した前作とその4日前に制作した1stアルバムの経験でだいぶ作業をルーティン化できたのか、これまでで最も完成度の高いアルバムになっている。前作は1曲目から曲が突然終わったり、vaporwaveというには少し硬派な、アーティスティックなものを作ろうとした痕跡が見られたが、本作はバイキングで好きな料理だけをひたすら皿に盛るように、vaporwaveっぽい音の選択とその組み立てだけに全精力が注がれており、一部前作同様できた曲を自分で聴き返すことすらしていないのか、楽曲に未完成な部分が見られるものの、一切の試行錯誤を廃し、それっぽい音を作ることだけに集中したことが功を奏した、ポンコツながらも味のある魅力的な作品になっている。

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【音源紹介】 F5 Complete – Goodnight, Birthday Girl / F5 Complete

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イリノイ州の学生vaporwaveアーティストによる4日振りの新作。4日前にリリースされた1stアルバム、F5 Complete – Grant Is Uglyが気に入ったので、Facebookで本人を探し、感想と「次のアルバムが出たら絶対買うよ!」というメッセージを送ったところ、まさかの4日というスパンで新作が発表された。
前作同様曲が途中で途切れる、なんだか似た様な展開がダラダラ続く、といったスカムさは相変わらずだが、今作は前作よりも幾分アンビエント・テクノ的な色味が増し、vaporwaveというよりはより90’sのアシッド・ハウス的な空気感にも接近した作風となっている。1つ1つの音色に対するこだわりが一切感じられない、ただ適当に鳩に餌をやるように音をばらまいているだけ、といったトラックメイキングは普通のミュージシャンであればご法度であり、おそらくミュージシャン本人の感性からして許されない部分であると思われるが、F5 Completeは今作でもその作風を貫いており、そのプリミティヴな魅力は健在(というより、4日しか空いていないのでブレるはずもないのだが)。
Bandcampを見てもらえばわかる通り、F5 CompleteはThe Greatest Hitsという学生の友達グループによる内輪のお遊戯会的なバンドをその母体に持っており、F5 Completeは「vaporwaveっぽい音楽を作って特定の友達に聴かせる。」をコンセプトに始まったソロプロジェクトと見られるのだが、その素人然とした、すべてを「◯◯っぽさ」だけで作っているノリと勢いがかえってまともに音楽として作ろうとしている一派の作った音楽よりもvaporwaveとして魅力がある、という点に良さの全てがある。あくまで素人の大学生の趣味のようなプロジェクトなのでどこまで続くのか、果たしてクオリティを維持できるのか、そもそも続ける気があるとか、クオリティがあるとかいう次元で音楽を作っているのか、こんなものを完成した音楽と呼んでいいのか、疑問も危うさも聴けば聴くほどたくさん感じるが、末長く見守っていきたいと感じさせてくれるだけの愛らしさのある音楽である。たいそれた話になるが、これが誰かのために何かを作るのと、自分のためだけに何かを作ることの違いなのだと感じる。ちなみにこのアルバムはEric Marshallという人物に宛てて制作されている。

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【音源紹介】Calls / MATTHEW P. HOPKINS

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ギリシャのTHALAMOSからリリースされたカセットテープ。MATTHEW P. HOPKINSはオーストラリア・メルボルン在住のアーティストで、これまでヨーロッパ各地の様々なレーベルから音源をリリースしている。このアルバムは彼自身のものと思われるスポークン・ワード的な語りを中心に、侘び寂び的な間隔で配置された様々な電子音・環境音が響いていく作品で、一見何の目新しさもないただの現代音楽といった感じなのだが、ドアの開け閉めといった何気無い生活音を配置と電子音との融合の妙だけで美しく響かせるセンスが絶妙で、集中して聴いているわけでもないのに流しているだけでズブズブと音に呑まれていってしまう。
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【音源紹介】TIDES / PZA

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pizzawaveという謎のジャンルを提唱しているノースカロライナ州ファイエットヴィル出身のプロデューサーのアルバム。
pizzawaveという名前だけ聞くとキワモノ系のようだが、やっている音楽はpost-vaporwaveなどのタグがついているものの実に真っ当なアンビエント物で、予想外の音の流麗さに驚かされる。vaporwave的なイメージを根底に持ちつつも、それをよりクリーンに、Girl / Boy Song的な美意識の世界に引っ張り上げているといった印象。そういう意味では確かに音像含め90’sっぽい雰囲気が漂い、4つ打ちのビートも聴こえて来るので、ノスタルジックな手法をチョイスするセンスがvaporwave的、という意味では確かにvaporwaveの一つなのかもしれない。
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【音源紹介】 F5 Complete – Grant Is Ugly / F5 Complete (Christian Anderson in A E S T H E T I C VAPOR WAVE MODE)

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The Greatest Hits
というバンドのドラマー、Christian Andersonによるソロプロジェクト。
プロジェクト名からしてふざけているが、バンドのFacebookやSoundcloudを見る限り、Christian君含むメンバーは全員イリノイ州に住んでいる高校生(もっと若いかも)で、このバンド活動自体仲間内の遊びの1つに過ぎないようだ。Bandcampの作品ページにはこのアルバムについて”I made this in 3 hours.This album is dedicated to James Lipinski.”と書かれており、本当にその通りの作品なのだろうと思われるが、James Lipinski君以外の赤の他人が聴いてもvaporwaveとして十分鑑賞に耐えうる作品となっている。おそらく収録曲も曲順通りに作られたのだと思われ、アルバム後半になるほど飽きたのか曲名やアレンジがテキトーで雑極まりないものになっていくが(「Your Mom Has No Aesthetics」「グラントは醜いです」などは曲名からして完全に内輪ネタだし、「uragara」と「グラントは醜いです」は完全に同じ曲)、それでもそのスカムな味わいがvaporwaveというジャンルの雰囲気にマッチしていて、”そういうもの”として聴くことができる。vaporwaveは今本当にそれで商売をしようとしているミュージシャンやレーベルが無数に乱立しているが、本来はこのように誰でも簡単に作れるような、音楽にもなっていないような音楽であるところにそのプリミティブな魅力があるように思える。そういうことを思い出させてくれる好盤。
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【音源紹介】 The Forbidden Tracks / Forbidden Society

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チェコのドラムンベース系DJ、Forbidden Societyの2001年から2013年までの未発表音源を収録したアルバム。単純にドラムンベースというよりはEBMやハードミニマル、ダークアンビエント的な手法を使って表現されたメタル・ミュージックといった趣で、ヘヴィーでハードなビートを全面に押し出した曲の聴き味はテクノだがほとんどメタルのそれに近い。アルバム後半にはダーク・アンビエントな曲が並ぶが、この並びで聴いているとBurzumなどのブラックメタルを聴かされているような気分になって面白い。Alec EmpireのATRやDHRのグループに近いものを感じる瞬間もあるが、安易なサンプリングに頼らない楽曲構成にシャープな魅力を感じる。ラップをフィーチャーした曲はノイジーなRoni Sizeといった程度であまり面白くなく、ドラムンベースという括りで聴いてしまうと少し退屈な音楽かもしれない。23曲136分のボリュームのある音源で聴く人を選ぶが、メタル、テクノどちらのリスナーにもオススメできる内容。
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