As Able As Kane(AAAK)

 

 

 

 

 

As Able As Kane(通称AAAK)は元The FallメンバーのSimon “Ding” Archer氏がThe Fall参加以前の1987年に活動していた2人組のEBMグループで、現在は5人組のロックバンドとして復活、サルフォード近郊(The Fallの前座という意味)を中心に細々と活動を続けています。

 

 

 

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(デュオ活動時。左がSimon “Ding” Archer氏、右はボーカルのPaul Rawlinson氏)

 

 

 

 

As Able As KaneはFront 242やNitzer Ebbなどの旋風が吹き荒れる1987年にマンチェスターで結成。オリジナルメンバーのSimon “Ding” Archer氏とボーカルのPaul Rawlinson氏の他にBrendan McGuirkという人が加入したり、名義をAs Able As KaneからAAAKに縮めたりと紆余曲折を経ながら1989年と90年に1枚ずつアルバムを発表、いざ世界の大舞台へ上がるかと思われたのですが、そのあまりに「いやそれNitzer  Ebbやん!」という、ブームから30年以上が経過しようとしている今ではただの二番煎じにしか、いや、単なる○○にしか聞こえないサウンドにはさすがに当時のグレートブリテンもいいね!は押してくれず、ベルギーやドイツなど、EBMであればなんでもよかったヨーロッパ諸国ではそこそこのファンベースを獲得できたものの、本国での伸び悩みと、スタジオでの機材盗難事件に巻き込まれたことによるアルバム制作の頓挫などにより、グループは活動の停止を余儀なくされてしまいます。その後Simon “Ding” Archer氏がベーシスト兼エンジニアに転身し、The Fallに加入したりPJ Harveyや果てにはPixiesのアルバムにベーシストとして参加したりしていることは周知の通りですが(Pixiesの「Indie Cindy」に”Ding”としてクレジットされているのはこの方です)、Paul Rawlinson氏とBrendan McGuirk氏は「デモリションマン」のシルベスター・スタローンばりに冷凍睡眠に入ったのか、何の音沙汰も無いまま幾多の歳月が流れて行きました。

 

 

 

 

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1st  「Buildingscapebeat」

 

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2nd「Big Fist」

 

 

 

そして2009年、Electric Tremor Dessauという名前からしていかにもアレな香りのするドイツのEBMレーベルが(そう言われれば当時EBMブームが来ていたような気がします)、1stアルバム「Buildingscapebeat」のリリース20周年を記念した限定の再結成ツアーと、コンピレーションアルバムの発表を突如グループに持ちかけてきます。それをきっかけに2人は再会、コンピレーションアルバムには過去の音源の再録版とレアなデモ音源が収録される運びとなり、そのプロモートを兼ねたいくつかのライブをAs  Able As Kaneとしてこなしていくうちに、2人の中に本格的なグループ活動の再開という考えが浮かびます。こうしてDisc 1に過去の音源の再レコーディング集、Disc 2に未発表のデモ音源などを収録した2枚組のコンピレーションアルバム「The Collection」が発売され、As Able As Kaneは10数年ぶりに音楽活動を再開させることになったのでした。

 

 

 

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「The Collection」

 

 

再結成したAs Able As Kaneは2011年にシングル「Out Here」をリリースした後、2012年にはメンバーを5人に増やして3枚目のアルバム「Totalitarian Tip-Toe」をリリース。その後は(なぜか)Red Hot Chili Peppersの東ヨーロッパツアーの前座に起用されるなど順調な活動を続け(“Ding”氏人脈でPixiesの前座も経験)、知名度はつゆほども上がらないものの(上がらないと思います)、現在はレーベルを移籍しEromeda Musicに所属、故郷マンチェスターを拠点にThe Fallの前座などをこなしながらコンスタントに音源を制作し、2013年には1stアルバムのオリジナルリマスター盤とバンド編成での再録音盤をコンパイルした4thアルバム「Building Scape Beat XXV」を発表。2014年にリリースしたシングル「Sweet Sweet Kiss」が目下最新作となっています。(2016年7月現在)

 

 

 

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Single「Out Here」 このシングルまでは2人体制

 

 

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3rd「Totalitarian Tip-Toe」

 

 

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4th「Building Scape Beat XXV」

 

 

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Single「Sweet Sweet Kiss」

 

 

 

現在のバンドメンバーは、

Paul Rawlinson (Vocal)
Seth Leppard (Guitar)
Simon “Ding” Archer (Sequences & Keys)
Tamsin A  (Bass, Vocal)
Dan Woolfie (Drum)

の5人で、Paul氏はボーカル、Simon氏はベースではなくデュオスタート時のポジションである打ち込みとキーボードとして参加しています。ドラムのDan Woolfie氏は現在Blossomsというバンドのツアーマネージャーをやっており、ギターのSeth Leppard氏はThe Wordsというバンドを兼任、紅一点のベース/ボーカルのTamsin A嬢もMr Heartというバンドでギターを弾きながらヨーロッパツアー中と、メンバー各人が各々慌ただしく仕事をしている状況で、こちらのSimon氏のインタビューによると、As Able As Kaneとしては「新作のレコーディングは終わっているものの、活動再開はメンバーの揃うタイミング待ち」、という状況のようです(レコーディングそのものは2014年に終了)。

しかしながらTasmin A嬢とSimon氏、そしてSimon氏と同じく元The FallメンバーのSimon Wolstencroft氏らでStemzという新しい音楽プロジェクトをやる、という話もあがっているので、いずれにせよしばらくはAAAK関連の活動そのものは続いていきそうです。

 

 

 

最後にいくつか曲を紹介しておきます。

 

 

初期の楽曲です。思いっきり当時のEBMというか、Front 242、Nizter Ebbにモロな影響を受けていることが伺えます。本国でウケなかったけどヨーロッパではそこそこの支持を集めた、というのも納得の音です。AAAKの音について特徴的な点を1つあげるならば、それはどこか初期のThe Jesus & Mary Chainの影響を受けている気がする、というところでしょうか。うまく言えませんが、音楽を始めたきっかけ的な部分にジザメリが影響を与えている気がしてなりません。時代的なものでしょうか?

 

 

 

2012年の復活作「Totalitarian Tip-Toe」の収録曲です。可もなく不可もないサウンドにギターやベースが乗ることでそこそこの変化が感じられます。Hadouken!をおじさんが真似してる感じです。「再結成バンド」らしい曲で、個人的にはAnd Oneが荒れたような音に聴こえます。

 

 

 

 

目下最新作であるシングル曲です。打ち込みが少し後ろに引っ込み、バンドサウンドが前面に出ることで、EBM的な構成を保ちつつも、もろブリットポップなサビで何を聴いているのかわからなくなる、という少し不憫な曲です。バンドサウンドを前に出すことで以前より聴きやすくはなっているのですが、今度はEBMというよりAtari Teenage Riotを真似しているおじさん、みたいな感じになってしまいました。そのあたりをどうするかが今後の課題なのかもしれません。

 

 

 

 

レッチリの前座で演奏した時の映像です。ライブで観るとものすごくEBMぽいです。おそらくキャリア史上最多の観客だったのではないかと思われます。ドラムの人の叩いている変なドラムが大変気になります。